「正社員のノマドワーカー」という働き方、実際どうなの?

「nomadwork(ノマド)」と聞くと、パソコン片手にカフェを転々とするフリーランスのイメージが強いですよね。実際、僕も数年前まではそう思っていました。でも最近では、正社員として働きながら“場所にとらわれない”スタイルを選ぶ人も少しずつ増えてきています。

実は僕自身も、いまはそのひとり。都内の企業に週1・2回出社とリモートで所属しつつ、自宅・カフェ・コワーキングスペースなど、好きな場所で仕事をしています。肩書きは正社員。でも、働き方はちょっと自由寄り。そんな「会社員×ノマド」というハイブリッドなスタイルには、思った以上にメリットもあれば、見落としがちな落とし穴もあります。

この記事では、実際に正社員ノマドとして働いて感じたリアルな部分を、良いことも悪いことも含めてフラットにお話していきます。もし「会社に勤めながら自由な働き方ってできるの?」と感じているなら、きっと参考になるはずです。

ノマドワークってそもそも何?

まず、「ノマドワーク」という言葉を改めて整理してみます。

語源は「遊牧民」を意味するフランス語の“nomade”で、そこから派生して、“定住せずに自由に移動する働き方”を指すようになりました。もともとは、インターネットさえあればどこでも仕事ができるフリーランスやクリエイターたちが使っていたスタイルです。

カフェのカウンター席でPCを広げて仕事している人、よく見かけませんか?あれも立派なノマドワーカー。かつては一部の人に限られていたこの働き方も、コロナ禍をきっかけに広がり、今では会社員でもこうしたライフスタイルを選ぶことができるようになってきました。

企業側も「リモートワーク」や「ハイブリッド勤務」など、柔軟な働き方を導入する動きが進んでいます。つまり、ノマドという言葉は今や“フリーランス限定”のものではなくなりつつあるということ。雇用形態にかかわらず、場所に縛られない働き方が当たり前になりつつある時代に、私たちは生きています。

正社員ノマドワーカーとして働くとは?

正社員のノマドワーカーと聞いて、「出社しないのに正社員ってアリなの?」と思うかもしれません。でも今の時代、会社に所属しながらリモートメインで働くスタイルは、業種や職種によっては全然珍しくなくなっています。

僕のケースを例にすると、所属しているのは都内のマーケティング企業。でも家は首都圏から離れた地方都市にあって、基本はリモート勤務。週に1、2回は打ち合わせのために東京へ出ることはあるけれど、それ以外はカフェやコワーキングスペース、自宅など、その日の気分や予定に応じて場所を選びながら働いています。

社内コミュニケーションはSlack、ミーティングはZoom、業務管理はNotionやGoogle Workspaceなどのクラウドツールで完結。出社しなくてもチームとちゃんとつながれる仕組みがあるので、業務上の支障はほぼありません。

朝は好きな時間に起きて、昼は自分でごはんを作ったり、午後はお気に入りのカフェで仕事したり。フレックス制度がある会社なら、こうした柔軟な働き方ができる可能性も高いです。

「働く=会社に行く」が当たり前だった時代から、“どこで働くか”を自分で選べる時代へ。正社員ノマドというスタイルは、その過渡期にある働き方の象徴なのかもしれません。

実際にやってみて感じたメリット

正社員ノマドという働き方を始めて、まず何より大きかったのは「通勤がなくなったこと」でした。朝の満員電車に揺られる必要がない。それだけで1日の体力と気持ちの余裕がまるで違います。時間的にも精神的にも、想像以上に大きな変化でした。

それから、自分に合ったリズムで働けるのも大きなポイント。例えば、朝が苦手なタイプなら9時半からスタートにして、夜に集中力を高めるのもアリ。逆に朝型なら、6時から集中してタスクを片付けて午後はゆるく過ごすのも自由です。自分のコンディションに合わせてパフォーマンスを最大化できる感覚があります。

そして何より、「働く場所を自分で選べる」のは本当にありがたいです。家のデスクでもいいし、気分転換にカフェに移動してもいい。旅先の宿で午前中だけ働くなんてことも可能。場所にとらわれない自由さは、想像以上にクリエイティブな刺激を与えてくれます。

さらに、正社員という立場でありながらノマドができることで、「自由」と「安定」のバランスが取れるのも大きな安心材料。フリーランスのように毎月の収入を心配する必要はなく、会社の福利厚生もそのまま受けられます。

実際にこの働き方を経験して感じるのは、「もう少し早くこうしていればよかったな」という素直な思い。自由と効率、そして安心感のちょうどいいところを探している人には、このスタイルはかなりフィットするはずです。

一方で感じたデメリット・課題

どこでも働ける正社員ノマド。自由度の高さが魅力ですが、やってみて初めて気づく意外な壁や落とし穴もあります。実際に感じた課題をいくつか挙げてみます。

まず一番大きいのは、「孤独感」。出社していれば、ちょっとした雑談やランチで気分転換ができますが、リモートだとそうした“人とのつながり”が極端に減ります。SlackやZoomでのやり取りはあるものの、対面で話すような空気感はどうしても希薄。同僚とふとした瞬間に交わす会話が、実はメンタルの安定に効いていたんだなと気づかされます。

それから、「自己管理の難しさ」も無視できません。自由な分、誰も行動を監視してくれないので、タスク管理・時間管理を自分で徹底する必要があります。予定を詰め込みすぎてパンクしたり、逆にダラダラしてしまったりするのは、正直なところあります。

また、会社によっては制度が追いついていないこともあります。リモートワークOKとは言うものの、評価制度や勤怠管理が“出社前提”で設計されているケースだと、働き方と評価のズレに悩むことも。

そして最後に、「部署や上司との温度差」も見逃せません。ノマドワークを歓迎するカルチャーが根付いている部署と、まだ“出社こそ仕事”という価値観が残る部署では、コミュニケーションや信頼形成の難しさが生まれることもあります。

こうした課題はあるものの、ひとつひとつ意識して対処すれば、解決できるものばかり。大切なのは“自由の裏側にある責任や準備”をしっかり自覚することだと実感しています。

この働き方に向いている人/向いていない人

正社員ノマドという働き方は、たしかに魅力的です。でも、誰にとっても完璧にフィットするわけではありません。実際に体験してみて、「向いている人」「そうでない人」の傾向がなんとなく見えてきました。

まず、向いているのは「自分でスケジュールを立てられる人」。自由に働ける分、何をいつやるかを自分で管理する必要があります。上司に細かく指示されなくても、自分でタスクを整理して進められるタイプの人には、この働き方は大きな武器になります。

次に、場所を選ぶのが好きな人や、新しい環境にワクワクできる人も相性がいいです。毎日同じオフィスで働くのが退屈に感じる人にとって、ノマドスタイルは日々の刺激になります。移動の合間にお気に入りのカフェでひと息つく、そんなちょっとした自由もモチベーションにつながります。

一方で、チームで顔を合わせて働くことに価値を感じる人には、やや孤独に感じるかもしれません。オフィスの空気感や雑談が活力になる人には、リモート中心の働き方は物足りなさがあるかもしれません。

また、生活のリズムを整えるのが苦手な人や、ついダラけてしまうタイプの人にとっては、自由がかえってストレスになることもあります。誰も見ていないからこそ、仕事とプライベートの線引きがうまくできないと、オンオフの切り替えが曖昧になってしまいます。

結局のところ、正社員ノマドは「自由をどう扱えるか」がカギになる働き方。自由に魅力を感じつつ、それをうまく活かせる人にこそ、フィットする選択肢だと思います。

「正社員ノマド」という新しい選択肢

「会社員なのにノマドワーカー?」と聞くと、一見ミスマッチに思えるかもしれません。けれど、テクノロジーと働き方の多様化が進んだ今、そのスタイルはもう“特別な働き方”ではなくなりつつあります。

実際に体験してみて感じるのは、この働き方には自由と安定のバランスがちょうどいいということ。フリーランスほどの不安定さはなく、会社員としてのサポートや保証を受けながら、自分のペースで、好きな場所で働ける。そんな選択肢があることで、人生にもうひとつの余白が生まれる感覚があります。

もちろん、すべてがバラ色なわけではありません。孤独や自己管理、評価制度とのギャップなど、乗り越えるべき課題もあります。ただそれ以上に、「働き方を自分で選べている」という実感が、日々の充実感につながっているのも事実。

もしあなたが今、仕事に対して「もっと自由がほしい」と感じていたり、「このままの働き方でいいのかな?」と立ち止まっているのなら。正社員ノマドというスタイルは、ひとつのヒントになるかもしれません。

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